好きを仕事にするのか、仕事を好きになるのか

誰しも一度は自分のやりたいことや興味の延長で仕事を選びたいと考えたことがあるでしょう。ところが、そのようにして仕事(会社)を選択したものの、実際に仕事をしてみると思ったような仕事内容ではなかったといったことは往々にして発生します。結果、それを理由に転職を選択するといった方も少なくないようです。

それでは、どうすれば働きがいのある仕事(会社)に就くことができるでしょうか?

たとえどんなに検討しても、いざ会社に入ってから「違う」と感じてしまうことは避けられないと、私は思います。

京セラ、KDDIを創業し、日本航空を立て直して成功に導いた稲盛和夫さんは、「自分が好きな仕事に就けるのは非常にまれなこと。好きなことを仕事にするのではなくて、与えられた仕事、遭遇した仕事を好きになる努力が必要なんです」と言っています。

私は「楽しそうに仕事をしていていいですね」と声をかけていただくことが多く、大変ありがたく思っています。ですが当然ながら、金銭が介在する限り仕事は楽しいことばかりではありません。むしろ、苦しいことの方が多いと感じます。そんななかでもただひとつ心がけているのは、稲盛さんの言葉のとおり、仕事を好きになるように努力をすることです。

1年365日のうち年間休日が120日だとすると、残りの245日、1年の約3分の2ほどが仕事の日となります。それが就職してから定年までの約40年間続くわけです。近年では定年退職後も仕事を続ける方が増えていますから、一生のうち仕事に費やす時間は膨大なものです。

そうすると、もし自分の気に入った仕事に就けなかったとしても、つまらないなと思いながらだらだらと仕事を続けるよりも、この仕事もそれなりに楽しいじゃないかと思いながら働くほうが充実した人生を過ごすことができますよね。

稲盛さんがの与えられた仕事、たまたま就いた仕事を好きになる努力が必要という言葉に、私も非常に共感を覚えます。また稲盛さんは、ビジネスで成功するカギは「命を懸けて打ち込むこと」ともおっしゃっています。あんまりガムシャラに働くなんてかっこ悪い、というのが昨今の風潮のようにも感じますが、命を懸けるほどの覚悟をもって取り組んだからこそ、稲森さんは大きなビジネスを成功に導くことができたのだろうと思います。

かつて社内会議の場で「私はデータベースが大好きです。なのでデータベース技術を追求しています」と言い切った技術者が弊社にいました。私は彼を凄くかっこいいと感じました。仕事に対するスタンスは人それぞれですが、やはり楽しんで仕事に向き合っている人を見るのは気持ちがいいものです。私も、時にその必死さを人からかっこ悪いと思われることもあるかもしれませんが、気にすることなく真摯に仕事に向き合い、楽しみながらやりきることを心掛けていきたいと思います。

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