昨年の3月に「『IT技術』を輸出したい」というタイトルで、日本のIT赤字についての記事を書きました。あれから1年が経過した2024年現在ではこの傾向はさらに進み、デジタル赤字がとうとう5兆円を超える規模に膨らんだそうです。日本のDXが進めば進むほどそのインフラを支えているクラウドサービス(AWS/Microsoft Azure/Google Cloud・・・)を使うことになり、国富が海外、特に米国に流れることになります。
日経新聞の記事にもありましたが、米国のIT企業は「サービスを運用しながら顧客と対話を重ね、失敗をいとわずに自らの意思と知恵で新たなサービスを素早く変えていく」のに対して、日本のIT企業は「顧客から丸投げされた提案を忖度しながら綿密に摺り合わせ、時間をかけて顧客の要求に完全に沿うように作り上げる」という傾向があるようです。
また、その国民性にも違いがあり、日本は不確実性を回避する傾向がロシアに続いて高く、世界で2番目に完璧さを好む国だそうです。一方、デジタル競争力ランキング上位国である米国(1)、オランダ(2)、シンガポール(3)、デンマーク(4)などは不確実性を回避する傾向が低く、寛容さや他者への思いやりを重んじる傾向があるそうです。日本人は、完璧主義で他者に対しても厳しいということでしょうか。
この国民性は、モノづくりにおいては品質のいいものを作り上げて提供する姿勢につながっているとも考えられます。しかし、IT業界においては失敗してもチャレンジする姿勢が重要なことは、米国IT企業の業績をみても明らかです。
インサイトテクノロジーは、上記で言えば、米国型の企業アプローチをしています。さすがに積極的に顧客提供するところまでは行っていませんが、弊社ではα(アルファ)版をお客様に使っていただくことも多々あります。当然、提供後はお客様との対話を重ねながら、機能をブラッシュアップして完成形に近づけていきます。
これは、最近各製品に取り込んでいるAI(機械学習)の精度を上げるためにも重要な手法です。生成AIなどから得られる答えが100点満点ではないのは皆さんも感じていらっしゃると思いますが、製品に組み込まれたAIも同様です。ブラッシュアップによって精度を上げていく工程が欠かせないのです。既存のソフトウェアでは1円の誤差も発生しないような「正解」が求められてきましたが、AI搭載のソフトウェアはそれらとは大きな違いがあります。今後さらにAIを搭載したソフトウェア製品が増えていけば、日本のモノづくりも少しずつ変わっていくかもしれませんね。
弊社製品もさらにいい結果を得られるように、日々ブラッシュアップし続けています。これには、ソフトウェア開発者だけでなく、営業、サービスといった各担当者が連携することが非常に重要です。これからも「自らの意思と知恵」でサービスを素早く作り上げることを忘れずに進めて行きます!