「サブスクリプション」という言葉がメジャーとなってもう何年もたち、誰もが知っている時代になりました。省略して「サブスク」と呼ばれることも多いと思います。
「サブスク」と言えば音楽や動画配信のようなサービスを思い浮かべますが、それに加えて最近はコーヒーショップの月額飲み放題サービスといったものまで幅広くサブスクサービスが取り入れられるようになりました。
我々インサイトテクノロジーも、ソフトウェアをサブスクで提供しています。以前は、ライセンスを購入していただいた後、保守料金としてライセンス価格の15%〜20%を毎年いただく形態でした。それが、2018年頃からソフトウェア提供をライセンス形式からサブスク形式へ切り替えを開始し、2020年には全ての提供ソフトウェアへの適用を完了しました。
サブスクという料金体系だと、ソフトウェアからの売上は年間使用料のみ。これまでのような高額のライセンス料はありません。そのため、サブスクへの切り替えを始めた初年度は、売上が下がることになりました。しかし、切り替えが完了して3年が経過した今、この料金体系には売上を順調に伸ばしていけるというメリットがあることを感じています。従来のライセンス提供方式では保守料金という継続した売上はあるものの、基本的には毎年ゼロから売上を積み上げていく必要があります。それに対してサブスク方式では、解約(チャーン)されない限りは既存顧客からの継続利用料の上に新たな売上を積み上げていくかたちになるので、売上をどんどん伸ばすことが可能です。
一方で課題もあります。これまでは我々が提供してきたのは、ソフトウェアのライセンスでした。それがサブスクに切り替わることで、ソフトウェアサービスという価値を提供し続けることになったのです。ビジネスの在り方も、顧客と継続的な関係性を築くことがより重要になっています。サブスク化から3年以上が経過した現在、サブスクでの売上の半分以上が継続利用中のお客様からのものです。お客様にいかに長く使っていただけるかを考える必要があります。
従来の販売形式で注力していた新規顧客開拓に加えて、商品・サービスを購入した既存顧客へ能動的に関わり続け「顧客の成功体験」を実現させる、いわゆるカスタマーサクセス(Customer Success)と呼ばれる取り組みも重要となってきました。この取り組みは、商品・サービスを提供する我々にとっても、お客様の課題を常に把握し、プロダクトに機能反映することが可能になるという重要な意味も持ちます。
「価値を提供し続ける」と書いてきましたが、現在インサイトテクノロジーが提供しているプロダクトも実際に多くお客様から課題を聞き出し、必要な機能を短期間で追加してきています。例を挙げると、元々はデータベースに入っているデータをターゲットに開発してきたプロダクトがありました。しかし、お客様からデータはデータベースにばかり保管されているわけではなく、機微な情報(個人情報など)はExcelやWord、PDFにも多く保管されているとのご指摘をいただき、そのプロダクトによるマスキングやカタログ化の対象にOffice系ファイルやPDFを加えました。この他にもお客様の課題に応える形で様々な機能を追加しています。
このように継続的にサブスク形式でプロダクトを提供していくと、従来のようにライセンスを提供したあとはバージョンアップやパッチ当てで対処していくなどという考え方もなくなっていくのかもしれません。
新たなお客様だけでなく、既存のお客様にも継続的に新しい機能を追加していくというサービススタイルがもう当たり前になりますね。