エンジン愛好者のための新たな展望:カーボンニュートラル燃料が示す未来

今回は、CNFについてお話ししたいと思います。皆さんはCNFをご存じでしょうか?
CNFはCarbon Neutral Fuelの頭文字をとったもので、カーボンニュートラルな燃料を意味します。

前々回のブログで二酸化炭素(≒カーボン)を回収して地球温暖化を防ごうという試みをご紹介しました。二酸化炭素を多く排出するものといえば、ガソリンが思い浮かびます。そしてガソリンをよく使うものといえば、自動車ですよね。ガソリンを使用して(燃焼させて)エンジンを動かすと、窒素/水蒸気/二酸化炭素がを排出されるのは、皆さんがご承知の通りです。そんなわけで、自動車が多くの二酸化炭素を排出している状況を改善しようと、カーボンニュートラルな燃料・CNFが推進されてきているようです。

CNFは合成燃料とも呼ばれるとおり、二酸化炭素と水素を合成して作られる燃料です。その生成方法はいくつかありますが、いずれも二酸化炭素を材料としています。結局二酸化炭素を排出することに変わりはないのでは?と思ってしまいますが、原料となった二酸化炭素をそのまま排出するだけなので、「新たに二酸化炭素を増やしていない」ということになるのです。

現在多くの国で電気自動車(EV)の導入が推進されていますが、日本でも遅くとも2035年までに新車販売を100%電動車にすることとガソリン車の販売を終了することを決めています。
私は以前のブログでもお話ししたように、バイクのレースが大好きです。自分でもバイクに乗りますし、クルマにも乗っています。私の大好きなモータースポーツも、こうした脱化石燃料の流れの影響を感じることが増えてきました。このまま進むと、あのエンジン音や空気の振動にワクワクする体験もなくなってしまうのではないかと寂しく感じていたところです。ですがこのCNFの取り組みを知って、まだまだエンジン車にも可能性があるんだと励まされた思いでした。

実は、モータースポーツ界もすでにCNFを採用しはじめているんだそうです。MotoGP(ロードレースの世界選手権)でも来年からCNFの使用率を40%、2027年からは100%とすることを目指しています。また、F1でも2026年からはCNF使用率100%を目指しています。
さらに驚いたことに、バイクの日本選手権の最高峰であるJSB1000(排気量1000ccを持つスーパーバイククラス)では、なんと今年2023年からすでにCNFの使用が100%に達しているそうです。はたして急に燃料を変えることが可能なのかと心配しましたが、同じエンジンのまま、ECU(エンジン・コントロール・ユニット)の設定に少し変更を加えるだけでCNFを使用することができるそうです。

パフォーマンスへの影響が気になるところですが、パワーはほぼ同等(1%ダウン程度)で、燃費効率も最大5%低下する程度ではないかとのことでした。エンジンレスポンスは多少低下するようですが、一般使用では充分許容範囲といえそうです。一番大きな違いは燃料の価格で、現状だと1リッターあたり1500円もするそうです。ハイオクガソリンの8倍ほどとかなり高価ですが、これから価格が下がって普及していくことを期待しています。

二酸化炭素を回収してまた燃料にできるなんて、一石二鳥な話ですよね?
エンジン大好きで電動バイクになったらもう乗りたくないと思っている私のような人間としては、期待大でこれからも注目していきたい技術です。

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