所変われば品変わる、業界変われば開発方針変わる

インサイトテクノロジーでは、自社でソフトウェアプロダクトを企画・開発し、お客様にプロフェッショナルサービスとともにお届けしています。
私は、インサイトテクノロジーに入社する前は、システムインテグレーション(顧客のシステムの開発)を行っていました。社会人になって入社した日立製作所では、半導体の物理的な実装をする仕事をしていたので、ソフトウェア業界に入ってシステム開発など今までと異なる経験ができ、とても面白かったです。

単純にシステム開発といっても、まずはお客様の仕事内容や仕事上での手続きを理解してシステム設計を行う必要があります。システム開発は、最初から関わると短くても半年かかり、大規模なものだと数年を要します。開発している期間は、お客様と同等、場合によってはそれ以上にビジネスの中身を知ることになります。
長い間システム開発を行っていると、銀行であったり、旅行会社であったり、店舗での販売などなど、様々な業種の方々と長くお話しすることが必須で、通常では知り得ないような内容を知ることができて、大変面白くやりがいもありました。

銀行の業務では、定期的に大量に帳票を紙で出力し、お客様に送付します。あるときこの帳票で1円の誤差が特定のお客様で発生していることが発覚し、真夜中に電話で叩き起こされました。調査を行うと、利子などの四捨五入する桁の計算手順が誤っていることで誤差が生じていることがわかりました。このために百万以上もかけて印刷した帳票紙を全て廃棄することに・・・。
そのときは、もう1円払うから許して欲しいと思ってしまいましたが、金融業界はそれだけ厳格なものなのだということを思い知りました。金融業界ではこのように絶対に誤りが許されないこともあり、システムテストも1年分をカレンダーを切り替えながら1〜2ヶ月間で実行して、誤りや処理時間に問題がないか確認しました。
時々銀行ATMでの不具合などのニュースを聞くと、銀行のシステム部の部屋のパトランプ(パトカーの屋根に付いているやつ)が光って全員集合がかけられているのを思い出して、気の毒に思ってしまいます。

一方で通信業界では、スピード重視で多少の不具合に目をつぶってシステムリリースを繰り返し行っていました。通信業界では、サービスのリリーススピードが金融などと比較して何十倍も速く、そうでないとサービスが陳腐化してしまうのです。金融が年単位で開発していたのに対して、通信は3ヶ月単位で開発を繰り返していました。システムに対する投資も凄まじい額で、大規模なサーバーを何十台と一気に導入するなど、同じシステム開発でも「正反対」の手法でした。

どちらが正しいということはありませんが、両方経験できたことはその後のシステム構築に対するアプローチの理解に多いに役立ちました。
今では、クラウドがデータベースの大きな割合を占めており、ノーコード、ローコードと呼ばれる開発手法も出てきています。システム開発のアプローチが以前とは大きく変わってきているとは思いますが、お客様の業務を理解して開発を行うことに変わりはありません。
システム開発に限りませんが、様々な業界の経験を積むことは、今後エンジニアとしての大きなアドバンテージとなるのは間違いありません。若い方には、是非食わず嫌いをせずに色々な経験をして欲しいと思います。

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