オンラインだけでは築けないもの

4月になり、インサイトテクノロジーにもフレッシュな新人が入社しました。
今年入社してきた新人たちは、2年間という長期のコロナ禍を経験し、今までとは少し異なるコミュニケーションを経験しているのかもしれません。
先日ブラウザのブックマークを整理していると「オンラインだけでは、相手を信頼しない」という山極京都大学前総長のインタビュー記事を見つけました。インタビューの日付は、2017年9月であり、コロナ禍による在宅勤務が広がる2年以上前のインタビューでした。この頃から在宅勤務の是非を巡り色々な意見がありましたが、在宅勤務が大きく広がることはありませんでした。しかし、コロナ禍によってあっという間に在宅勤務は「普通」のことになりました。

山極さんは、霊長類研究の第一人者でゴリラの研究でも有名な方です。
このインタビュー記事は、今読んでもなるほどと思えることが多くて面白いので少し紹介したいと思います。

インターネットが普及してSNSやZoomなどのサービスによって現代の人は、容易に人と繋がれるようになりました。その一方で人間関係が希薄になったような気もしますね。ゴリラは、付き合っている時間が長ければ長いほど相手を信用し、新しく知り合った者や侵入者をあまり信用しないそうです。
人間は、言葉を話すことによって脳で繋がるようになったそうです。言葉ができる前は、人間も五感を通じて身体的に繋がっていたのですが「見る」「聞く」という直感的に共有できる感覚を優先して繋がるようになりました。正に今オンライン会議などでコミュニケーションしていることが当てはまります。
しかし、強い信頼関係を築くためには、残りの触覚や味覚、嗅覚という直感的には共有することが難しい感覚も必要だそうです。これは、Zoomでは難しいですね。
特に触覚は触れると同時に触れられていて、非常に共有が難しい。だから、母子もカップルも、肌の触れ合いを長くすればするほど信頼が高まりますし、味覚や嗅覚も一緒に食事をすることで共有して、より親しい間柄と認識されるそうです。
これは、類人猿の時代から変わらない感覚とのことで現代は、視覚と聴覚で簡単に(脳が)繋がったと錯覚するのですが、実際には、信頼関係は担保できている訳ではない、と記事にありました。

「触覚」「味覚」「嗅覚」という本来「共有できない感覚」を一緒に経験することでより深い信頼関係を築くことができるんですね。確かに飲み会で一緒に食事をしたり、ゴルフに一緒に行って一日行動を共にすることで、凄く近くなったように思います。
先日、久しぶりに大阪に出張して直接大阪勤務の社員に会うと体格が良くなっていて驚きました。PCの画面で顔だけを見ていると、その人の変化に気付けないものです。オンラインだと身体全体を見ることがありませんからね。

信頼関係を築くことは、社内、社外ともに非常に重要です。在宅勤務で集中して自分の作業を行うことができるのは確かですが、我々の仕事は、人との繋がりで成し遂げることができる部分も多くあることは、皆さんもご理解頂けると思います。
信用できる人が周りに多くいることは、仕事のアウトプットにも繋がりますし、周りの人から信用されることも自分の仕事に大きく影響します。信用できる人が周りに少なくて全て自分に抱え込んでしまう、または信用されていないことから自分のやりたい仕事を任せてもらえない、といったことが起きます。

是非、今期から、周りの人と視覚と聴覚に加えて触覚、味覚、嗅覚を共有してみてはいかがでしょうか?

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