コンピュータの1976、2022、20xx

IT業界に長くいると、私を含む年長エンジニアが、「昔のPCのメモリーは4KBだった」とか「ストレージは10MBだった」という昔話をよくします。夫々の年代でスケールの差はあるにしても同じような話をしたことはあるのではないでしょうか。

コンピュータの新旧比較をしてみましょう。
CRAY-1は1976年に商品化されたかつてのスーパーコンピュータです。スーパーコンピュータとは、最近ではコロナの飛沫感染のシミュレーション分析などで良く出てくる富岳が有名です。当時は画期的な性能を誇ったCRAY-1ですが、今のスマホのiPhone13と比較すると、以下のように重量は3万分の1で価格も1万分の1になってしまいました。

 CRAY-1iPhone13比率
発売年1976年2021年45年後
プロセッサー80MHzA15 16コア200倍
トランジスター20万個150億個7.5万倍
価格886万ドル799ドル1万分の1
販売台数80台2億台250万倍
重量5.5トン173g3万分の1
RAM4KB4GB100万倍

性能的にもCRAY-1はiPhone13に満たないものです。余談ですがアポロ11号が月面着陸したのが1969年なので、CRAY-1発売の7年前になります。iPhone1台の処理能力よりも低い非力なコンピュータしかなかった時代に、月にたどり着くものが作れたのは凄いですね。

話を戻します。
処理能力が数万倍になって、ポケットにかつてのスーパーコンピュータが入るようになっても、充分足りているとは感じないのはなぜでしょうか?
おわかりかと思いますが、「データ」が処理能力の伸びを超える増え方をしているからです。音声や動画を代表とする非構造化データが一気に増えた結果、2000年には、6.2EB(エクサバイト)だったデータ量が35ZB(ゼタバイト)になったと言われており、5600倍で年率40%で増加しています。
さらにコンピュータはテレビや冷蔵庫にも搭載されていて、当然そこにデータが存在しています。これらのデータの処理を行うため、コンピュータの処理能力とその台数も爆発的に増えているわけです。

前述したように、データの中身も大幅に変わり、従来のExcelのような、2次元の表に収まるリレーショナルデータベースに格納することが難しいログデータ、音声、画像、動画などが9割以上を占めています。また、インターネット通信量の15%をNetflixによって消費されているというレポートもあります。年長エンジニアの活躍した時代では、テキストと数値がデータだけだったことを考えると、正に時代が変わったということですね。
このように膨大になったデータは、溜めるだけでも大変なことですが、溜まったデータから計算結果を得ることだけではなく、何か新たな気づき(Insight)を得ることが主な目的になりました。最近では、ストリーミングで流れてくるデータを溜めることなくリアルタイムに活用することも求められるようになってきました。IoTセンサーで収集されるデータに基づく気づきは次の日に得られても意味がありません。こう考えるとデータにも鮮度が存在して、古いデータはそのまま溜めていても意味が無いものも多いのかもしれません。

このように人間の「欲」に満足は無く、どんなにコンピュータの性能が上がっても膨大なデータを溜めても次の課題(欲)が出てきてまた機能が向上していきます。
次の20年後には、どのようなコンピュータがポケットに入っているのでしょうか。
シンギュラリティが実現しているのかもしれません。本当に楽しみです。

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