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東京海上日動システムズ株式会社|Insight SQL Testingを導入したことで、1システムあたりの工数を4人月から1~2人月分へ削減する効果がありました

国内外において損害保険・生命保険事業や金融・一般事業を幅広く展開するグローバル保険グループである東京海上グループでは、クラウドの積極的な活用によりシステム運用の標準化と将来的な人材不足への対応を目指している。採用している主たるプラットフォームとしてAWSを選び、データベースもAmazon Aurora PostgreSQLを標準としている。Amazon Auroraはサポート期限を超えて利用することができないため、定期的なバージョンアップが必要だ。しかし、バージョンアップ後もアプリケーションなどが問題なく動くことを確認するには、詳細なテストを行わなければならない。東京海上グループでは、継続的に発生するAmazon Auroraのバージョンアップ対応の効率化を、Insight SQL Testingで実現した。

システム規模などによっても異なりますが、テストツールを利用しなかった場合と比べて、Insight SQL Testingを導入したことで、1システムあたりの工数を4人月から1~2人月分へ削減する効果がありました

ITインフラサービス本部
インフラソリューション三部 部長
山下 裕記

ITインフラサービス本部
インフラソリューション二部 部長
菊地 紀仁

Amazon Aurora PostgreSQLのバージョンアップの負荷削減が課題に

東京海上グループは、国内外の保険ビジネスをはじめとして、事業を順調に拡大している。ビジネスの成長を支えるにはIT、デジタル技術の活用が欠かせない。東京海上グループの情報システムの企画・開発から保守・運用までを一手に担うのが東京海上日動システムズ株式会社(以下 東京海上日動システムズ)だ。

東京海上グループでは、拡張性があり運用負荷の低いITインフラ環境を目指し、クラウド活用に積極的に取り組んでいる。「将来的に人材不足が予測される中、自前で環境を用意するのではなく、クラウドを活用し運用になるべく人手がかからないようにします」と言うのは、東京海上日動システムズ ITインフラサービス本部 インフラソリューション三部 部長の山下裕記氏だ。2018年からオンプレミスのシステムのクラウド化プロジェクトがスタートし、2021年からは本格的なクラウド移行を開始した。

ITインフラサービス本部 インフラソリューション三部 部長 山下 裕記氏

主たるクラウドプラットフォームとして、利用ユーザー数が多く、事例や知見も豊富にあるAmazon Web Services(AWS)を選んだ。データベースも同様の観点でAmazon Aurora PostgreSQLを採用し、さらなる運用負荷の軽減を図った。

Amazon Auroraはサポート期間を超えて使い続けることができないため、数年に一度計画的なバージョンアップ対応が必要となる。データベースのメジャーバージョンアップは互換性のない変更が実装される可能性があるため、バージョンアップ後に問題なく稼働するかのテストも欠かせない。
そこで、インフラ担当だけでなく、システム運用の担当者も、Amazon Auroraのバージョンアップに伴うテストの作業負荷をいかに軽減するかが新たな課題となった。

網羅したテストを自動化できるInsight SQL Testingを標準テストツールに採用

オンプレミス運用時は、データベース単体でのバージョンアップはほとんどなく、ハードウェアやOSなども含めて更新されることが多かった。そのため、これまではデータベースだけに着目したバージョンアップ対応はすることがなかった。しかし、Amazon AuroraではハードウェアやOSについての考慮は不要となるため、データベース単体のバージョンアップを検討する必要がある。Amazon Auroraのバージョンアップの際に、アプリケーションやクエリが正しく動作するか事前にSQLの収集、テストが必要となる。その定期的に必要なテストを効率化できないかとアマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社に相談し、紹介があったのがInsight SQL Testingだった。

インサイトテクノロジーから製品情報を得て検討した結果、東京海上グループの環境でも活用可能と判断した。2021年には検証を開始し、システム運用の担当が中心となってPoCを実施した。2022年には一部システムの実環境に適用し、Amazon Aurora PostgreSQL 10のバージョンアップにて検証を行った。その結果、標準ツールとして採用可能と確認でき、サポート切れを迎えるAmazon Aurora PostgreSQL 11のバージョンアップ対応のため、2023年から本格的に利用を開始した。

バージョンアップテストでは、開発環境に現行バージョンと新バージョンの2つのデータベースインスタンスを作成し、Insight SQL Testingを用いてそれぞれでSQLを実行、比較するリグレッションテスト(回帰テスト)を行っている。

また、Insight SQL Testingはデータベースエンジン変更時のSQL互換性チェックにも活用できる。東京海上日動システムズではこれまでもオンプレミスのデータベースからAmazon Aurora PostgreSQLへの移行プロジェクトでInsight SQL Testingを一部で利用しており、今後も活用を拡げることを検討中である。

テストツールがない場合と比較し、最大で工数を50%削減する効果

実際のリグレッションテストでは、事前にパース実行もしていることからSQLエラーの発生は極めて少ない。「改修が必要なSQLはほとんど出ていません」と、ITインフラ本部 インフラソリューション二部 部長 の菊地紀仁氏は言う。

ITインフラサービス本部 インフラソリューション二部 部長 菊地 紀仁氏

本格的にInsight SQL Testingを利用するまでには、細かい躓きもあったものの大きな苦労はなかった。問題が発生した場合も「インサイトテクノロジーのサポートで、すぐに解決できました」と山下氏は振り返る。Insight SQL Testingは、GUIが直感的で理解しやすく使いやすいと社内でも好評だ。「操作性が良く、ドリルダウンで詳細情報がすぐに分かる点や、使うために学習コストがかからない点も評価できます」と言う。標準的な利用のためのガイドも用意されており、初めて利用する担当者からも使いやすいと声があがったという。

菊地氏は「性能の比較情報が出るのは他にはない特徴で、移行後にも劣化がないことを確認できるため不安が払拭できます。また開発者からは、それまで意識していなかったSQLが生成されているのが分かるのも便利だとの声があります」と言う。またInsight SQL Testingの効果の試算も行っており、「システム規模などによっても異なりますが、テストツールを利用しなかった場合と比べて、1システムあたりの工数を4人月から1~2人月分へ削減する効果がありました」と山下氏は言う。

東京海上グループでは、今後大部分のシステムがクラウド化される予定だ。利用されるAmazon Aurora PostgreSQLの数は開発環境を含めてすでに数百を超える。今後は、バージョンアップ計画の中にInsight SQL Testingが組み込まれ、広く活用される。

現状では、事前にアセスメントなどを実施した上で、バッチ的な処理も含め、基本的に1つのデータベースにあたり2ヶ月間で全SQLを網羅したテストが可能となっている。
今後テストの対象となるデータベースが増えてくれば、より多くのSQLが発行されるものも出てくる。「その際には解析時間が長くなることが課題になりそうなので、何らかの工夫に期待します」と菊地氏、ユーザーの要望を早いタイミングでキャッチアップし、継続的な改善を要望する。

また東京海上グループでは、IT技術の選択の際にAWSのような利用者が継続的に拡大し、技術進化が期待できる製品を選択することを考慮している。それにより長期に亘り安心して使えることにもつながる。「インサイトテクノロジーがデータベースのコア技術に強いことはよく理解しています。その上でさらにデータベースの世界でメジャーになり、データベース活用の様々な領域で一番になって欲しい」と山下氏、それによりパートナーとしてより深い連携ができるはずだとも言う。

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