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SBI生命保険株式会社|縁の下の力持ちとしてInsight Maskingがしっかりデータをマスキングしているからこそ、公開しているデータウェアハウスを全ての社員が安心して使えます。

SBI生命保険では、SBIグループが創業より掲げる「顧客中心主義」の徹底に向け、お客さまの声を真摯に受け止め、誠実かつ迅速に対応する取り組みを行っている。この実現には、顧客のさまざまな情報が必要だ。そして重要な顧客データを扱うには、体制をしっかり整えデータの安全性を確保する必要がある。一方で顧客とより良い接点を持ち、満足度の高いサービスを提供するためには、データを民主化し社員が柔軟に活用できる仕組みも欠かせない。データを守ることと有効に活用することを両立したい。そのためにSBI生命保険が採用したのが、「Insight Masking」だった。

縁の下の力持ちとしてInsight Masking(旧名称: Insight Data Masking)がしっかりデータをマスキングしているからこそ、公開しているデータウェアハウスを全ての社員が安心して使えます。

情報システム部 部長
狩野 泰隆

データの民主化の課題と
それを解決するデータマスキング

生命保険業界は少子高齢化などの要因によりマーケットが縮小傾向にある一方で、事業を取り巻く環境は日々変化している。インターネットをメインチャネルとして保険の販売を行うSBI生命保険では、「顧客中心主義」の徹底に向け、お客さまの潜在的なニーズを先取りした商品やサービスの実現を図るべく、タイムリーなデータ活用・分析の環境を整備する必要性が高まっていた。

このような新しい取り組みには、顧客データを柔軟に扱う必要がある。SBI生命保険では社員の積極的なデータ活用のために、データの民主化に取り組んでいる。データの民主化と言っても、全ての情報を誰もが見られるようにするのではなく、権限に基づき、それぞれの社員が必要な情報だけを見られるようにするものだ。

データ活用の自由度を高めることと安全性を担保することの両立は、データ民主化の実現において大きな課題だった。「データはどんどん洗い替えされ増えます。その中で常に精度の高い正しいデータを、社員に安全に渡さなければなりません。これにはデータのマスキングが必要でした」と言うのは、SBI生命保険株式会社 情報システム部 部長の狩野泰隆氏だ。

情報システム部 部長 狩野 泰隆氏

SBI生命保険では以前、業務システム内のデータをマスキングするのに、Microsoft Accessを用いた独自のツールを構築し利用していた。これはデータベース内のデータをテーブル単位で1つ1つマスキング処理をするものだった。しかし、当時業務システムで利用していたOracle Databaseのバージョンアップが必要となり、移行時にこの内製ツールを使おうとしたがうまく動かないというトラブルが発生した。このデータベースは、1日に7000万件ほどの処理を行っており、数十テラバイト規模の巨大なものだった。その膨大なデータ量が原因で独自ツールが動かず、移行には利用できないとわかった。

当初はツールを作り直すことも検討したが、かなりの手間と時間を要する。そのため、新たにデータマスキングツールを探すことにした。その際に紹介されたのが、Insight Maskingだった。すぐにInsight Maskingを検証したところ、マスキング作業がほぼ自動化できることが確認された。Oracle純正機能と比較しても効率性やコスト面で優位性があると判断され、Insight Maskingの採用を決めた。

当時は並行して業務システムの開発プロジェクトも進行し、スケジュール的にもリソース的にも厳しい中での作業となった。しかし、Insight Maskingを採用したことで、移行テストで必要となる本番データのマスキングによるテストデータ作成は極めて順調に進み、工数も圧縮できた。結果的にプロジェクトは、当初の予定通り2022年5月に終了した。

AWS Glueのランニングコストの問題を解決したInsight Masking

2019年から、SBI生命保険は新たにAWSを活用するデータ民主化の取り組みを開始している。フェーズ1ではAWSで基盤を構築し、フェーズ2でAmazon S3を用いたデータレイクを整備した。そして2022年4月からのフェーズ3では、Amazon Aurora PostgreSQLを用いてデータウェアハウスを構築し、全ての社員に必要なデータを公開できるようにしている。

フェーズ3はアジャイル的に進められた。まずはAmazon Auroraの要件定義から入り、その段階でデータマスキングが重要なことが明らかとなった。そこで8月からAWSが推奨するAWS Glueを用い、データマスキング処理の検証を実施した。環境を整備しルールを定めGlueでマスキング処理を実施したが、「Glueのコストを確認したところ1ヶ月でかなりの数字となり、『これはまずいな』となりました」と狩野氏。データウェアハウスを社員に公開して継続的に利用するためには、ランニングコストの最適化は重要なポイントだった。

コストが課題となっていた頃、Insight MaskingがAmazon Auroraにも対応するとの情報を得た。OracleでInsight Maskingの有効性は実証済みだったこともあり、すぐに切り替え検証し、使えるとの確証を得て、狩野氏は導入を決める。

そこからは短い期間でAmazon AuroraにInsight Maskingを適用した。これを可能としたのは、既にOracleで実績があったこと、ソースとなる業務データベースのテーブルを3800ほどから960まで整理したこと、Oracleの業務システムにおけるマスキングルールを応用して、Amazon Auroraにおける分析用のマスキングルールを迅速に設定できたことが挙げられる。さらには、このルール設定にインサイトテクノロジーの協力を得られたことが大きかったという。

Insight Maskingがコストを最適化して
データの民主化を支える

現状、Amazon Auroraのデータウェアハウスは社内に公開されている。社員はAmazon QuickSightを用いてそれにアクセスし、セルフサービスで情報を取得できる。欲しいときに欲しいデータが得られるとユーザーの評価も良好だ。

この仕組みがなければ、タイムリーな情報提供は難しく、情報システム部が業務部門の依頼を受けて都度データ抽出作業を行うか、要望に応じたデータ参照のシステムを別途構築する必要があった。それらの対応には手間も時間もかかる。情報システム部はこのような対応がなくなったことで、そのリリースで新たな取り組みに注力できている。

Insight Maskingのおかげで、鮮度の高いデータを権限に応じ安全かつ容易に得られるようになった。「縁の下の力持ちとしてInsight Maskingがしっかりデータをマスキングしているからこそ、全ての社員がデータウェアハウスを安心して使えます」と狩野氏。加えて、AWS Glueと比較してデータマスキングのランニングコストを90%程も削減できたと評価する。

今後のInsight Maskingに対する要望として、「SBI生命保険ではマイクロサービス化を進めているので、API連携を重視しています。今はAmazon EC2で動かしていますが、Insight MaskingもサーバーレスやSaaS化でそれに対応して欲しいと考えています」と狩野氏は言う。

他にもSBI生命保険ではOracle Databaseの監視、監査情報の収集にPISOを活用している。今後はこれをAmazon Auroraにも適用する予定だ。データの活用と安全性をより高度化したい。インサイトテクノロジーには、そのためにもより良い製品、サービスが求められている。

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