複雑で時間のかかるデータアクセス
2020 年、Jaguar Land Rover 社は 425,974 台の車両を 127 ヶ国で販売し、大きな成功を収めましたが、それでもなお、多くの組織が現在直面している課題を効果的に解決する必要があります。
新型コロナウイルスによって多くのサプライチェーンが混乱している今、世界的なチップ不足による生産への影響が懸念され、デジタルトランスフォーメーションの必要性はますます高まっています。自動車業界では、電気自動車の生産が急速に進んでいます。
こうした要求に対応するには、重要な判断を適切かつ迅速に下さなければならず、それにはアクションに直結するリアルタイムのデータに常時アクセスできる必要があります。
従来、このようなデータを取得するのは難しく、手作業で時間のかかるプロセスでした。SAP アプリケーション、メインフレーム、製造システムなど、オンプレミスとクラウドの両方で、極めて重要なシステム内に貴重なデータが閉じ込められていたのです。JLR 社のデータ環境は広範かつ複雑で、数多くのさまざまなデータベースソースシステムを備えています。また、さまざまな組織を買収してきた経緯から、従来のシステムも多種多様です。
バッチ抽出には SAP BODS などの従来型の ETL ツールが使用され、シチズンデベロッパーが、1,500 のアプリケーションからデータを抽出してダウンロードする手段としてさまざまな方法を開発しましたが、そのうちの 180 個以上が 15 ~ 20年前のものでした。こうした 1,000 以上のアプリケーションから少なくとも 1 日 1 回、また別の 350 のソースからは 1 時間ごとに情報を収集する必要がありました。
より多くのデータに対するビジネスニーズが高まる中、より迅速な優れたソリューションが必要でした。
DataOps(データオプス)によりリアルタイムのデータ提供を加速
JLR 社のエンタープライズデータチームの戦略は、変更データキャプチャ複製を使用して、データレイクにデータを提供することでした。評価の結果、JLR 社は、データレイクのさまざまなストレージレイヤーにデータを転送する手段として最も効率的なのが、Qlik データ統合プラットフォームの一部である Qlik Replicate だと判断しました。
「データレイクは導入していましたが、より多くのデータを迅速にオンボードする手段が必要でした」と、JLR 社の技術製品担当マネージャーである Michael Cockbill 氏は述べています。「JLR 社内のすべての主要システムに広範に対応できるソリューションは、Qlik だけでした。」
JLR 社のエンタープライズデータチームは、会社の複製環境の構築や Infrastructure as Code を介したさらなる自動化の構築に役立つ、DataOps(データオプス)手法を積極的に採用しています。つまり、チームは複製の構築すべてを社内で自動化でき、これが外部システムインテグレーターへの外注コストや遅延の削減につながります。一般的な複製プロジェクトの場合、セットアップと導入は現在ほとんどがプッシュボタン式で、15 分もかからずに開始できるようになります。
その目的の 1 つは、複製の構築をさらに成熟させて、複製タスクへの変更を、完全な IT プロジェクトとしてではなく標準サポートチケットで行えるようにすることです。
地域のデータチームがグローバルビジネスをサポート
JLR 社のエンタープライズデータチームは 9 人で、そのうち5 人が Qlik Replicate の専任です。「小さなチームで短期間に多くのことを実現できます」と、Cockbill 氏は言います。チームが最初に構築したのはアナリティクスをサポートするためのデータレイクでしたが、そのデータレイクが、他にも多くのユースケースをサポートできるよう継続的に進化しています。
「以前は簡単にはできなかったことで、Qlik Replicate によって可能になったことの 1 つが、データレイクにあるさまざまなストレージレイヤーにデータを並行して提供することです。その中には分析をサポートするものがあれば、さまざまな国の外部向け JLR Web サイトをサポートする、エンタープライズ API プラットフォームによって使用されるものもあります」と、Cockbill 氏は説明します。
その結果、JLR 社は、このような外部 Web サイトを使ってSAP データをほぼリアルタイムで公開し、グローバル市場の規制要求に迅速に対応できるようになりました。その一例が、北米高速道路庁の SLA への対応です。この SLA では、北米で事業を行うためのライセンスの一環として、安全保証に関するリコール情報へのオンデマンドアクセスが求められます。
また、JLR 社が、グローバルな SAP システムの膨大なデータから、正確な UK VAT を送信および提供する時間を大幅に削減したことも例として挙げられます。税務チームはこれまで報告義務に対応するために、何時間あるいは何日もかけて、SAP ECC ソースから手動でデータをダウンロードしていました。今では、必要なデータすべてをスタッフが数分で処理し、分析することができます。
Cockbill 氏は、Qlik のプロフェッショナルサービスとカスタマーサクセスチームも高く評価しています。「Qlik との連携はいつも素晴らしいものでした」と、彼は言います。「実際のビジネスが始まる前から、導入、新しいエンドポイントのベータテスト、重大なインシデントに対するチームの対応まで、すべてが卓越していました。これまで取引してきた IT ベンダーも素晴らしいサービスを提供してくれましたが、製品に対する経験の深さは、Qlik の担当者ほどではないように思えます。」
データレイクには現在 2 ペタバイトのデータがあり、データは主に IoT/ イベントストリーミングプラットフォーム、従来型の ETL バッチ取り込み、Qlik Replicate CDC ストリーミング RDBMS とメインフレームシステムの 3 つの方法によって取り込まれます。JLR 社のエンタープライズデータチームは、中国の AWS RDS インスタンスへの複製も管理しています。
将来に向けて生データレイヤーの構築を終えた今、JLR 社では、Qlik Replicate でグローバルな複製タスクに対応し、Salesforce や Kafka などのエンドポイントを追加する計画のほか、Qlik Compose を使用したデータレイクですぐに利用できるビジネスレイヤーの作成など、Qlik データ統合プラットフォームで他のソリューションの使用を拡大することにも意欲的に取り組んでいます。また、Qlik のデータカタログも検討中です。