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DIC株式会社|Qlik ReplicateでSAPとデータ活用基盤のデータ連携を実施、ビジネスプロセスの改善と周辺システム環境の刷新を実現

グローバルに事業を展開する化学メーカーDICは、デジタル基盤とビジネスプロセスの整備を目的に、SAP ECCからSAP S/4HANAへ移行する際に、周辺システムのデータを統合するデータ活用基盤「デジタル統合プラットフォーム」を新たに構築した。これらを成功させるため、DICはSAPとの連携に優れ、大量データを柔軟かつ効率的に処理できる「Qlik Replicate」を採用した。
Qlik Replicateを活用することにより、移行後のS/4HANAとデータ活用基盤の連携を短期間で実現。ビジネスの中断を最小限に抑えながら、新たなデータ基盤の即時運用を実現した。今後はQlik Replicateを活用し、さらなるデータ収集の強化、DX推進のためのリアルタイム分析・可視化、さらには生成AIなどの最新技術の活用も視野に入れている。

今回目指したのは、SAP ECCからS/4HANAへの単なるERPの更新ではなく、ビジネスプロセスの改善と周辺システム環境の刷新です。そのための「デジタル統合プラットフォーム」と呼ぶ新たなデータ活用基盤の構築が必要でした。それにはSAP製品への対応と柔軟かつ迅速な周辺システムからのデータ収集を両立できるQlik Replicateの採用が不可欠でした。

Qlik Replicateは、つなぐだけで欲しいデータを即日取得できます。海外のグループ企業を含めて、地域・事業単位など複数の切り口でのレポートをリアルタイムに作成できるようになりました。

情報システム部 サービス&ディベロップメントグループ グループマネジャー
中西 功介

グローバルビジネスを支えるDICのDX戦略

DIC株式会社は1908年創業の化学メーカーで、印刷インキ、有機顔料、合成樹脂などを製造・販売し、世界トップシェアの製品を多数保有している。創業以来、印刷インキ事業を基盤に成長を続け、現在はパッケージやエレクトロニクスなど、幅広い分野に事業を展開する。同社は世界62カ国に拠点を持ち、185のグループ会社でグローバルに事業を展開している。「売り上げの比率は、既に海外からが7割を占めています」と言うのは、DIC 情報システム部 サービス&ディベロップメントグループ グループマネジャーの中西功介氏だ。

DICでは、グローバルのビジネスに対応する基幹系システムとして、10年ほど前にSAP ERP Central Component(SAP ECC)を導入し利用してきた。一方、2022年1月には、グローバルでのデジタル基盤とビジネスプロセス整備を目的に「CONNECTUSプロジェクト」が発足する。このプロジェクトでは、デジタル基盤整備の一環として、SAP ECCからSAP S/4HANAへの移行を予定していた。「単にERPを更新するのではなく、ビジネスプロセスを改善して周辺システム環境も刷新し、新たなDX基盤を構築したいと考えました」と中西氏は言う。

DXを進めるにはデータが必要だ。SAP ECCの時もデータ活用環境はあったが、主にSAPの中のデータを可視化するものだった。S/4HANAへの移行を機に、周辺システムとのインターフェイスも整備し、「デジタル統合プラットフォーム」と呼ぶ新たなデータ活用基盤も整備することとなった。

デジタル統合プラットフォームでは、ERPのデータだけでなく、さまざまなシステムや外部サービスなどからデータを集める。活用するデータは将来的に増えることも想定されるため、その都度インターフェイスを考えるのではなく「柔軟、迅速にデータを集められる仕組みが必要だと考えました」と中西氏は言う。

迅速なデータ連携のためにQlik Replicateを採用

DICでは、新たに構築するデジタル統合プラットフォームについて、将来的な周辺システムの新規開発・システム改修やデータ量の増加を見越して、最適なデータ連携方法を検討した。また、SAP ECCからSAP S/4HANAへの切り替え自体も迅速かつ安全に実施したいと考えた。その際にビジネスを止めるわけにはいかないため、基幹系システムのダウンタイムはなるべく短くする必要がある。またERPの移行と同時に、新たなデータ活用基盤も利用を開始できるようにしたい。そのため、S/4HANAから分析基盤へのデータ連携にQlik Replicateを採用した。

採用理由は、SAPの製品にしっかりと対応していたこと。そのうえで、周辺のさまざまなシステム、サービスとも柔軟かつ効率的に連携できることが評価された。DICでは扱うデータ量も多く、データ収集後にはそれらを活用しやすい形に加工する必要もある。これには時間がかかるため、データ連携、収集はなるべく短時間で行える仕組みが欲しかった。Qlik Replicateなら、差分同期の機能を活用することで実現可能だと判断した。

ツールの検討にあたっては、DICでは複数のデータ連携ツールに対し、SAPへの対応、周辺システムとの連携性、将来的なデータ増加にも対応できる拡張性、使い勝手など第三者機関の評価等を比較し、候補を絞り込んだ。評価の良かったQlik Replicateについては、実際のデータを用い検証を行った。検証の結果、Qlik Replicateならデータ連携を短期間で実現できると結論付けた。

ノーコード、ローコードで容易にデータ連携を実現

Qlik Replicateを使用して、S/4HANAからAzure Synapse Analyticsへの継続的なデータ連携を構築した。一連の作業は迅速に進んだため、旧システムとの並行稼働は一切必要なかった。

S/4HANAへの切り替えとデータ活用基盤の連携、構築をなるべく短期間で実現するため、DICでは検証環境でテストを繰り返した。「SAP側のデータの制約によりQlikにエラーが発生することもありましたが、インサイトテクノロジーなどパートナーのサポートもあり、迅速に解決できました。処理時間を短縮するためのタスクの組み方のアドバイスも有効で、結果的に短期間での移行が実現できました」と中西氏は振り返る。新たな環境の稼働後も、さらなる効率的なデータ収集のためにタスクの調整などの工夫は継続しているという。

データ活用基盤へのデータ収集には、Qlik Replicateの差分同期を使い効率化をしている。変更データキャプチャの機能によって差分同期の処理を実施しても、ソースとなるS/4HANAの負荷は上がっていない。また、「S/4HANAのデータベースにはさまざまなテーブルがありますが、設定の際にいちいちマッピングのためにスクリプトを書くような作業が必要ないのは、大きな利点です」と中西氏。ノーコード、ローコードで容易にデータ連携を実現できる、Qlik Replicateの使い勝手の良さを高く評価する。

つなぐだけで欲しいデータが直ちに取得できる

今回は日本およびアジア地域で利用しているSAP ECCを対象に切り替えを行った。地域が限られているので、S/4HANAからデジタル基盤プラットフォームへのデータ収集は主に差分同期を夜間に動かすことで実現した。その後、欧米地域の関係会社のS/4HANAとも差分同期の常時連携を開始した。

「デジタル統合プラットフォーム」により、SAP上にある各企業単位のデータから海外のグループ企業を含む連結決算のレポートを作成したり、地域単位、事業単位などさまざまな切り口でデータを見たりすることができるようになった。今後周辺システムのデータも順次統合されれば、既存のレポートやダッシュボード画面だけでなく、より多彩なデータの可視化、分析環境が求められる。「裏側のQlik Replicateによるデータ収集処理の効率化、迅速化はより重要性を増します」と中西氏は言う。

DICでは、デジタル統合プラットフォームを活用し本格的なDXに取り組むには、内製化も必要だと考えている。外部に委託していると、必要なデータを必要なタイミングで収集するのは難しい。対してQlik Replicateは、「つなぐだけで欲しいデータを即日取得できます。レポートやダッシュボードを作成する工数は明らかに削減されますし、リアルタイム性も向上します」と中西氏。使い勝手の良いQlik Replicateの利用シーンは、今後さらに増えることになるだろう。

さらにDICでは、生成AIのような新しい技術の活用も視野に入っている。これにも多様なデータが必要不可欠だ。さまざまなデータ活用のアプローチを実現するためにも、グローバルで実績のあるQlikのユースケースやノウハウ提供に期待がかかっている。

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